黄金時間が過ぎるまで
「会えたの?っていう事は、もうここに来てるの?」

「うん、そうだよ、一年C組にいる子。なまえは、ちとせ・さつきちゃん♪」

「…どうして?会えたのに…でも会えたら、どうなっちゃうの?」

「わかんない…前は早く帰りたいって思ってたけど、今はお兄ちゃんと話してると楽しいし、学校も好きだから…と〜ぶんもどらなくてもいいや〜」

クスクスと少女は笑った。

″残留思念が別の意思を持ってしまったという事だろうか…もしかして自分のせいで?″


…人は死ぬ時、誰もが生前に思い入れのある大事な場所や、人に思念を飛ばすのではないだろうか…

それは転生すると忘れてしまうけど、理由もなくある場所に魅かれたり、その人に会ったりするとナゼだか涙が出るような、切ない気持ちにさせられるのではないだろうか…

鳴海は時々そう思う…

誰でも一度は経験するデジャヴと呼ばれる現象が、前世の残留思念と会う事なのかもしれない…


またチャイムが鳴った。 夕焼けが窓から差し込む…

「んじゃ、もう行くね」

「うん、またね」

さえが手をふる…

鳴海は階段を下りながらふり返ると、さえに手をふり返した。
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