黄金時間が過ぎるまで
「失礼します…」

聞き覚えのある声が、戸の向こうから聞こえてきた。     

「ベッドへ急いで!」

里美が目で合図をすると、千歳は大急ぎでベッドにもぐり込んだ。

「…里美先生、千歳いますか?」

鳴海がのろのろと戸を開けると、中に入って来た。

「え、えぇ来てるわ、まだ寝てるわよ…」

「そうですか…これ渡してもらえますか?今そこで千歳の友達に会って、この荷物をつかまされたんですよね…」

千歳はタヌキ寝入りをしながら、二人の会話に聞き耳を立てた…

「…誰かいたんですか?」

「え?!どうして?」

千歳と里美は内心ギクリとした。

「だってカップが、二つ出てるから…」

鳴海は机の上のカップを指した。

「あ、あ・これ?私よ、二種類飲んだのよ!」

「ふーん…ところで千歳、具合もういいの?」

いきなりベッドの方に向けて、鳴海が声をかけた。

千歳はビクッとして、ベッドから思わず飛び起きると答えた。
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