黄金時間が過ぎるまで
「だいたい良くなった!」

「…荷物、置いとくから…あ、千歳、病欠届け出しておこうか?これから職員室行くから」

「悪い、お願いします…」

「里美さん」

鳴海は里美に向き直ると、手を出した。

「ああ、はいはい、これね」

あわてて、里美は病欠届けを手渡した。

「じゃ、お大事に。里美さん…また来るね」

鳴海は意味ありげに、里美に笑いかけると、そのまま行ってしまった。

しばらくして、千歳はベッドからはい起きて来ると、里美と顔を見合わせた。          

「…バレたかしら?」

「案外、先生の演技力にかかっているかもしれませんね…」

「嫌だ…私ものすごい大根なのに…」

「…がんばりましょう、お互いに…」

千歳はふうと、ため息をついた。

「そんなに…知られたくないんですかね?」

「ただ単に、ヒミツ主義なのかもしれないわー」

「そうですね、単にそうかも」

何となく、二人して笑ってしまった。
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