黄金時間が過ぎるまで
放課後を告げるチャイムが鳴った。             

帰り支度をすると、千歳は里美にお礼を言った。       

「また来てね、お茶でもしましょう」

里美は、ほんわかと笑いながら千歳を見送った。


保健室を出ると千歳はまた、ふうと一息ついた。       

「帰るか…」

学校の外へ出ると、梅雨の雨がシトシトと稲の上に降っていた。

傘越しにそれを見ながら、千歳は帰って行った…


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