黄金時間が過ぎるまで
「いい所って…ここ?」

「そう、ここ」

二人は先ほどの図書室から、徒歩一分で着ける屋上に立っていた。

そろそろ夕暮れの空に変わり、校舎がオレンジ色に染まりはじめていた…

学校の周りを囲むように田んぼが広がっていて、夕日をさえぎるものは何もない…

刻々と変わる空を、二人は思い思いの場所で見ていた。

しばらくして、屋上の手すりに寄りかかって見入っていた千歳を、鳴海が呼んだ。

「何か飲む?」

屋上の出入り口の壁にもたれながら、鳴海は自分のバックをガサゴソと探っている。

「?うん」

鳴海の隣に来ると、千歳も腰を下ろした。

すると、すっと目の前に、よーく冷えていそうな缶ビールが手渡された…

「あ…の〜鳴海?これって、ビールに見えるけど?」

一瞬目を疑って、まじまじとそれを見た。

「あ、ビールだめだった?じゃ、こっちは?」

楽しそうに、またバックを探って出したのは、小ぶりの缶の…

「カクテル…?」

「当たり」
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