黄金時間が過ぎるまで
「はい、でね、こっちは里美先生からのプレゼント。で、こっちは私からね」

「え?」

鳴海は少し驚いて、千歳を見た。そして、膝の上に乗せたプレゼントと交互に見比べてみる…

「誕生日でしょう?今日」

「…あ、そうだっけ」

「忘れるなって…里美先生今日、用事があって渡せないからって…私が頼まれたという訳です」

「ああ、なるほど…そうか、誕生日…ね」

フムフムと納得して、プレゼントに目を落とした。

「あれ?何でその時計、お兄さんからだって分かったの?」

「…だってこれ、兄のだもん」

「えー?」

「…昔欲しがった事があってね…それを覚えていてくれたんだね…」

「へー」

鳴海は大事そうに時計を手に取ると、元の通りにしまった。

「良かったね」

「ま、ね」

「里美先生からは何?」

「えっと…あ、マフラーみたい」

「へーいい色、ブルーグレーだね」

「んじゃ、千歳からは何かな…っと」

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