黄金時間が過ぎるまで
「ねぇ…この空、なんか鳴海に似てるねぇ」

「…ねぇ…って言われてもねぇ…そう?」

「うん」

「…空に例えられたのは、はじめてだね…どの辺が似てるの?」

「えーと…静かなとことか…それとボンヤリして、はっきりしない感じが…」

鳴海は無表情に、千歳の自分に対する評価を聞いていた。

千歳に悪気はないらしい…

「ほめ言葉?として、とっとくね…」

「あれ…怒った?でも私、こーゆー空好きだけどね…」

鳴海はかすかな興味を持って、千歳を見た。

″面白い事を言う人だな…″

「怒ってないよ…自分も好きだしね、こーゆー空…」


ちらり、ちらりと白いものが空から舞い降りて来た…

はじめは少しづつ、だんだんと増えて行き、空をおおっていく…

校庭で部活をしていた運動部が、校内へと引き上げて行くのが見えた。

「ちょっと散歩してくるね」

「…付き合おうか?」

「え?いいの、屋上行くけど?」

千歳は嬉しそうに笑って、天井を指した。
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