黄金時間が過ぎるまで
「な…んで分かったの?そう…ちょうどこの場所から見た時、そう思った事…」

鳴海の方に向き直ると、目がまっすぐ千歳を見ていて、口元が笑っていた。          

「同じだから、ね。もしかしてそうかなって…だから自分もね、ここから見たこの学校が気に入ったって事…」

千歳は何とも言えない、不思議な気分にさせられた…

自分と同じ事を感じた人がいるとは、思いもしなかったのだ…

千歳は改めて、この人物をじっと見た。

夕日に照らされても、白い事が分かる肌…背は180センチはないだろうけど、細身のせいか高く見え、何よりも瞳と髪が黒いのに、ぼやけた印象のある人物で…

目が合うと、ん?というように返された。

「うん…なんでもない」

ボンヤリとしていた所に、千歳のカバンがついと返された。

「いい時間だね…帰ろっか?」

今度はゆっくりと、鳴海は歩きはじめた。

駅まで10分程度の道のりは、田んぼをつっ切るように一本長く続いている…

夕日を見ながら、ゆっくりと歩いて行くと、二人の後ろに影が伸びて行った。
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