私はしがない執事です
「ここが庭か…」
“庭”と表現したけれど、むしろ“楽園”である。
ワーイ、小鳥のさえずりが今にも聞こえそうだ。実際は居ないけどね。
色とりどりの花や木の実。薬草もあり、ビニールハウスで野菜も栽培しているという山に建てたが故の特権を幅広く生かしていた。
「ここは交通の便が不便だからな。ここである程度は自己生活出来るようになっておる」
お嬢様がそう説明してくれた。
「まぁ、門から屋敷まで来る途中に見た光景で飽きているかもしれんが」
あー…このキャベツ畑から門が見えるのか。
新城さんの顔に見惚れ…ゴホン…観察し過ぎて景色全く見てませんでしたとは言えないな。
「瑠璃さんは私と愛について語っていたのでそんな暇ありませんでしたよ」
今までお茶の葉を摘んでたくせに。
いつからやって来たか分からない大嘘つきが会話に入ってきた。