私はしがない執事です
「雅ちゃん、ウブで可愛いですよね」
前をズンズン進んでいく雅ちゃんを眺めながら、横に歩く新城さんにポソリと言った。
「お嬢様はどこまでもお嬢様ですよ」
珍しく真面目に回答したかと思えば、私には全く新城さんの考えが読めないものだった。
普通にそうですねとか言えば良いのに。
「私は、瑠璃さんの方が好きです。胸触っ……ててて」
私は思いっきり手の甲を捻り、スネを蹴飛ばした。
軽いナンパはお断り派なんで。
だからこの年になっても彼氏が出来ないのだと言う頭の中の母親の小言は瞬時に宇宙の彼方へ消し飛ばした。
余計なお世話というものだ。人にはペースというものがあるのだよ、お母さん。