私はしがない執事です
車で移動しなければならない程、門からお屋敷までの距離は遠く、だったらインターホンで出て瞬間的に門の前まで移動するなんて無理な話だ。
だけど。
だけどね?
声が同じなのだ。
「あぁ、私ですよ」
グルグルと悩んでいる私をよそに彼はあっさりと回答した。
「え……でも…」
「門の後ろで応対させていただきました」
インターホンの意味無ぇ!!
「ご到着なさるお時間の少し前に待機させていただいてたのです。
――何せお屋敷に仕える者は私一人だけですから」
あぁ、貴女を足せば二人でした、と彼は優雅に微笑み私に言うのだった。