私はしがない執事です
「雅ちゃん、私が思い出記念にそのぬいぐるみ買ってあげようか?」
生憎持ち合わせがあまり無く(や、屋敷にお金を置いてきただけだから!決して給料まだで金欠とかではないからね!)、ぬいぐるみを一つしか買えないのだけれど。
そう付け加えると、雅ちゃんはパアッと顔が輝き出したかと思うとすぐに暗い顔になってしまった。
「………要らない」
声にも元気がない。
「新城さんにダメって言われたから?」
「違う!」
「じゃあどうして?」
「…………」
そう聞くと雅ちゃんは黙ってしまった。
「理由言わないなら、私が欲しいからそのぬいぐるみ買っちゃうよ」
そう言って私は、雅ちゃんが持っていたサイの小さなぬいぐるみを脇に抱え、レジへと行きさっさと会計を済ませた。
後ろであ…と聞こえたけれど、無視した。