私はしがない執事です


因みに現在早朝なのでお嬢様はぐっすり夢の中である。


少し静かな穏やかな朝だ。窓から入る太陽の光が少し眩しい。




「調理を始める前に注意事項を言います」




そして新城さんが何やらメモ帳を取り出し始めた。




「まず一つ目、絶対に味見をしないこと」




え?


ちょっと待って。それだったら何も上達……あ。


私はこの時点で気づいた。気づいてしまった。
そんな私の表情を読み取ってか、新城さんは頷いた。




「そうです。お嬢様の料理に限って作る場合、味見をし続けると味覚が麻痺して料理の腕は格段に落ちてしまいます」




雅ちゃんは極度の味覚障害者だ。そんな料理を食べたら…というより食べると考えるだけでもゾッとする。
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