私はしがない執事です
婚約者ご訪問
「いらっしゃいませ、椿様」
翌日。朝10時。
新城さんが出迎え、雅ちゃんの婚約者である五十嵐椿様が来た。
どうやら彼はいつも車で来て、帰る頃にまた運転手を呼ぶらしい。
つまり、屋敷に入って来たのは彼一人だ。
「おぅ、椿。1ヶ月ぶりじゃの」
「あぁ、雅。久しぶり」
ニコリと微笑む彼はまるで華のようだった。
立ち振る舞い、声色、容姿。
彼はどの点においても美しかった。
長い睫毛に、少し切れ長の透き通った目。通った鼻筋に直毛の清楚な黒髪。
和服がなんとも似合いそうな人だ。
新城さんは和服よりスーツって感じだが、彼は断然和服だと思う。
私が少し見惚れていると、目が合ってしまった。