私はしがない執事です
「スープ、ですか。
美味しいですよね。コクがあって」
スープにコクは要りません。
というよりもしかして椿君…
「涙目ですよ?」
「辛いもの食べると俺、出ちゃうんですよ。自然現象ですから気にしないで下さい」
絶対強がってるよ。
アレだけ口赤くなって涙目で手が震えてる。
完璧強がってるよ。
「雅ちゃん、私布巾取ってくるね。ちょっと待ってて。あ、椿君も手伝ってもらって良い?」
「なら妾も!」
「ダーメ。吹きこぼしたのは私達なんだから。こういうのは本人がしないといけないの」
雅ちゃんにそう言うとなら仕方ないと引き下がってくれた。
良かった。
本来ならコレは私の仕事だ。だけど、私はどうしても椿君を連れ出さなければならかった。