私はしがない執事です
「で、椿君。本当は辛いの全然ダメでしょう?」
私は奥の流し台まで来て雅ちゃんの姿が完全に見えなくなった所で口を開いた。
「いえ、大す…」
「雅ちゃんには言わないから本音言って下さい」
「大嫌いです」
やっぱり。
そしてそれを新城さんに知られたんだな。
辛かったけど、涙までは普通出ない。だから、私は椿君が辛いものは苦手だと考えたのだ。
「料理作り直しますね」
「いや、しかし…」
「雅ちゃんには不自然に思われないようにしますから」
「瑠璃さん……本当にありがとうございます」
椿君も真面目というかなんというか…素直だよなぁ…
好きな人の前では、弱みを見せたくないだなんて。
まぁ、私にはバレバレだったけど雅ちゃんにはバレてないんだから大したもんだよ。鏡だね。