私はしがない執事です
もうそろそろ帰るという椿君を押し止め、私は新城さんが帰宅するのを待った。
彼が帰って来たのは電話してから三十分後だった。
「新城さん、来て下さい」
「え…瑠璃…さん…!?」
私は新城さんの襟首を掴み、ズンズコ歩き出す。
雅ちゃんと椿君の居るリビングまで連れて行くと私は新城さんの頭をガッと押さえ、彼にごめんなさいのポーズをさせた。
「え………深海さん?」
椿君が呆然としている。
「待って下さいね。新城さんが今から椿君に話したいことあるみたいですから」
私は彼の耳の横で私が何をしたいか分かってますよね?と囁いた。
私は新城さんに料理の一件を謝罪してもらいたかったのだ。
アレは酷すぎる。
絶対にあの味はわざとだ。
それなのに。