私はしがない執事です
「私は瑠璃さんとお付き合いしているのは嘘でした。実は婚約します」
―――…彼が発したのはそんな言葉だった。
「消え失せろ!」
私は思わず新城さんの首筋に肘鉄を食らわせてしまった。
「……瑠璃殿、それは真とか?」
何で信じちゃうかな、雅ちゃんは。…困ったもんだ。
否定しようとそう思った矢先だった。
「雅ちゃん……?」
「あ、すまぬ…気にせんでくれ。少し感傷に浸っただけだ。妾は自室に戻る」
雅ちゃんがそう言って部屋に戻ってしまった。
「つ、椿君…ごめんなさい。私は…」
ただ新城さんに謝ってもらおうとしただけなのに。
その当人は気絶しているが。
「――良いです。分かってましたから。だから俺はこの人が嫌いなんですよ」
椿君は悲しげに微笑んだ。