密室
車から降りると部活に励んでいる学生達の声が聞こえてきた。

この空間にいると自分も高校生に戻った気分になる。


「お、やってるやってる」


そう言って彼が向かった場所はグラウンドで練習をしているサッカー部。

そのまま脇のベンチに座っている監督と学生の元へ行ってしまった。

私はそんな中へ入っていけるわけもなく。

ふと後ろの校舎を見上げると――


「……っ!」


あの頃と変わらない風景があった。

チラッと彼の方を見ると、私の存在を忘れてしまったかのように夢中でサッカーをしていて。

だからか、引き寄せられるように私は校舎の中へ入っていった。
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