密室
ドキドキする胸を押さえながら数学準備室のドアをノックする。

その瞬間ドアを開けたのは、さっき窓から顔を出していた……


「先生」

「久しぶりだな」


そう言って私を中へと招き入れて後ろ手でガチャンと鍵を締めたと同時に心臓がドキンと跳ねた。

そしてそのままぎゅっと抱き締められた。

あの頃と変わらない匂いに胸がきゅっと締め付けられる。

あの頃もこうやってここを訪れては先生と秘密の時間を過ごした。

でも会いたい時に会えないという寂しさが、あの時の私には耐えられなかった。

だから私はこの恋から逃げたんだ。
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