甘い囁き、熱いキス
「美咲さん。もう閉館の時間、とっくに過ぎちゃってますよ」


あぁ、そうだっ。私、図書館で本を読んでたんだっ!! 慌てて立ち上がると、声のした方を振り向く。


「あ……」


あの癒しの笑顔を湛えて、森川さんが立っている。周りを見渡すと、もう誰もいない。


「ごめんなさいっ。すぐに出ます」


恥ずかしいのと申し訳ない気持ちから急いでその場を去ろうと本を持つと、その腕を掴まれてしまう。


「半年前来た頃は時間ばかり気にして、5時頃になると嬉しそうにここを出ていったのに、今はただ時間を潰しているだけ。その心境の変化のわけは?」


右の口角を少し上げ、“どう? 図星でしょ?”と言わんばかりの顔に少しカチンとしながらも、痛いところを突かれて言葉が出ない。

その通りだった。

彼と会うことが、愛情なのか義務なのか、分からなくなっていた。


「な、何が言いたいの?」
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