ふたりがひとつ
気付き
ある日の昼休み。
私は樹に会いに行こうと、理系クラスの教室がある五階まで昇っていった。

理系クラスは少人数のため、講堂の近くにある小さな教室がクラスの教室になっていた。
私達文系クラスは、同じ建物ではあるものの二階。
体力のない私にとって、五階までの道のりは長く感じた。

やっとの思いで五階まで昇り、理系クラスの教室を覗く。
教室のドアについているガラスの窓からは、クラス全体が見渡せ、理系クラスの面々が話をしたりふざけあったりしていた。
その中に樹の姿を探したが見つからず、諦めて二階へ戻ろうと引き返したとき、トイレから樹の声が聞こえた。

樹は外部生の生徒と、楽しそうに話しながら出てきた。
その生徒は、私達双子と樹が学校から帰ろうとしていた時、あまり学校に馴染めていないようだったから声をかけ、仲良くなった子であった。

名前は、石原恭子。

私達3人の間では『いっしー』と呼んでいる。
いっしーは大人しくはあるが個性もある、独特の雰囲気を持った子であった。

樹といっしーが共にトイレから出てくる姿に、私は違和感を感じた。


(樹、すごく楽しそう。私達にはあんなに打ち解けた態度は取らないのに。)


私は何故か苛立ち、樹と話すこともなく二階へ降りた。
自分でも何故こんなに苛立っているのか、気持ちがザラザラしているのか、全くわからないまま…。
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