ありがとう。言えるかな
ドラマでもよくあるように、波打ち際で俺達は騒いでいた。

『わぁー濡れちゃうよ』

『ひぇー逃げろ逃げろ』

二人は楽しんだ後少し波打ち際から離れて海を眺めていた

『海風強いね』

アユカがそっと呟いたので俺は後ろからギュッとした。

『あったかいよ』

その言葉を聞いて俺はアユカを振りまかせ、また抱き締めた

『……』

アユカは無言だった

俺はアユカの両肩を手で少し遠ざけ

『好きだよ』

目を見て真剣に俺は伝えた

『私も』

聞こえるか聞こえないかの小さな声でアユカは答えてくれた

『アユカ大好き』

そう言ってまた抱き寄せてキスをした

『ありがとう隆君』

俺達は結ばれた……

長い恋にさまよっていたあの頃、出会う事を望みもしなかった新しい人

突然目の前にあらわれた一人女性、そのひとつの出会いが明日すらも見えなかった日々から、未来が見えるような幸せに包まれた。

『アユカ…幸せになろうな』

手を握り合って俺は囁いた。

『隆君となら幸せだよ私は』

出会ってから約二ヵ月の夏真っ只中の7月の終わりの事だった。
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