ありがとう。言えるかな
『見てろナッチャン隆お兄ちゃんすんげー飛ばしてやるよ』

『うんみてる』

『行くぞー、それ』

チャポチャポチャポン三回くらい水を跳ねて石は飛んでいった
『すごいにぃーちゃんすごいよ、僕も僕も』

俺も適度な大きさの石を見つけて川に向って思い切りよく投げてみた


チャポン…


『隆全然ダメだな』

『なんでなんで僕のは飛ばないの』

『投げ方が違うじゃない?』

そう言って姉も適度な大きさの石を見つけて投げてみた


チャポン…


『お前達ダメだな』

兄が一人自信満々の表情で笑いながら俺らに言ってきた

『石を横に持って上から腕を振り下ろすんじゃなくて横から滑らすように投げるんだよ』

石投げのコーチになったかのように細かく教えてくれた

『隆もう一度やってみな』

『おねーちゃんも一緒になげよーよ』

『いいよじゃ勝負ね、どっちがより遠くに飛ぶかだよ』

『わかった絶対負けないもん』

『せーの…えぃっ!』

……………。

『あーいい匂いだ、ほら隆母さんのところにいこっ』

『あーお肉焼いてる』

俺と姉は何も無かったかのように自然に母さんの所に行ったのだ

< 19 / 184 >

この作品をシェア

pagetop