ありがとう。言えるかな
興味津々の兄が助手席から身を乗り出して後ろを向いて聞いてきた。

『行けば分かるわよ』

母さんはちょっと笑ってて教えてくれない、一番うきうきしている母さんは早く着かないのかと

父さんに

『何時つくの?』

と何度も聞いてはソワソワしている。

俺達兄弟もそれが伝わってきて車内は落ち着かない感じで、周りから見たら変な家族が乗ってる風に見えただろう。

どれくらい走ったのか分からないが気付いたらとある店に父さんが車を駐車し始めた、とうとう着いたのだ。

みんなが一斉にドアを開け俺は父さんの手を握って

『早くいこーよ』

もう店にまっしぐらで母さんも姉の手を握りお婆ちゃんと一緒に歩き始めた。

兄は一人でひょいひょいと向かって走って行ってしまった。

『いるかなあの犬』

思い出したかのように

『そういえば教えてよ飼いたいって言ってる犬の名前』

姉が母さんの手を引っ張り聞いた

『じゃあ教えてあげる、シェットランドシープドックって言う犬だよ』

『……』

聞いたのはいいが教えてもらっても姉はさっぱりだった、もちろん俺もさっぱりだ。

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