ありがとう。言えるかな
そう言ってトイレに行く為に病室を出た

『お父さん……お父さん』

小さな声で涙を流しながら一人壁にもたれていた

その訳は大分時が経ってから俺らは知る事になる

『トイレなのに時間掛かったな』

父さんが母さんに尋ねた

『あっちょっと家にいるお婆ーちゃんに電話してたの』

涙を流した事をばれないよう時間が経ってから病室に戻ったから、父さんに嘘をついたのだ

『じゃあそろそろ子供達が帰ってくるから私も帰るね』

『おうありがとな』

『明日は隆も来るわよ』

『そうかいっぱい話聞いてやらないとな早く治して試合見に行かないと行けないから頑張らないとな手術』

『そうよ……お父さんワァイト』

精一杯の明るさで応援した

母さんは帰る途中父さんの担当の医者に会いに行った

『手術はどうなんですか?あの人は助かるんですよね』

『そうですね…お母さんは全てを聞きたいと言うことで以前も来ましたからね、また正直におっしゃいます』

『…はい』

『手術は全力を尽くしますただ完全に治るかはちゅっと』

『…………先生お願いします』

瞳に溢れそうな涙を我慢して母さんは震える声で言った
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