ありがとう。言えるかな
そんな俺に気付いたお婆ーちゃんが

『隆ちゃんおいで』

そう言って俺を廊下に連れて行った

『ねぇお婆ーちゃん、父さん退院したんだ!でもなんで父さん顔に白いタオルを被せてるの?それになんで親戚の人みんないるの?』

『あのね…隆ちゃん……父さんね遠くにいったの…』

『えっ……どういう事?』

突然すぎる言葉に俺は何も感じなかった。

『死んじゃったって事?…ゴー君の時と一緒だ、もう会えない…父さんに』

俺はまだ実感がなかった、会えなくても死ぬって事をまだ理解していなかったのだ

父さんの寝ている部屋に行くと母さんと兄は黙ったまま父さんだけを見ていた、姉は昨日の二人みたいに涙を流していた

『父さんおかえり、やっと家に帰ってこれたね』

俺は父さんに向かって言った

『隆……』

母さんがまた涙を目に浮かべながら俺を抱き締めた

そしてお葬式をして父さんは骨になってしまった。

とてつもなく長い列が父さんの為並んでいたらしい

それだけ父さんは人望があつかったのだ

もう触れる事ができなくなった人、いつもの言葉が聞けなくなってしまった、一緒に出掛ける事もできなくなった、
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