ありがとう。言えるかな
姉が尊敬の目で母さんと話してる兄はゲージをしっかり揺れないように持っている。

俺は何も言わずただ犬を見つめていた。

『名前はどうすんだい?』

父さんが車のルームミラー越しにみんなに問い掛けた

『そうだよ名前だよ決めないと』

兄も気付いたかのように言い放った

『んーなんだろうね…ナッチャン(姉)は何がいい?』

『ママまた決めてるんじゃないの?』

『名前はみんなで決めたいからまだ考えてないよ』
『はい!』

兄がいきなり手を挙げて

『太郎は?』

『…………』

みんな黙りこんだ、でもすぐに笑いに変わり

『おにーちゃんそれはないよーだって可愛くないし』

姉が笑いながら兄の意見を却下した。

それからみんなで

タマ

ブルー

シェット…何個か意見は出たが全部却下…

なんてセンスのない家族だ。

『ゴー君』

父さんがゲージの中の犬に向ってそう呼んだ。

みんなはその名前に反応しないで一斉に犬を見た

『あーこっち向いた!』

姉が嬉しそうに手を叩きながら言った

『ゴー君』

『おーいゴー君』

『今日からお前はゴー君だぞ』

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