タイムカプセル
きょろきょろと周りを見渡すと、遠くに騒がしい男子の集団が見えた。
その中にいた、誠也だ。
25歳になった今、頭の中では簡単に誠也って呼べるのに、あの頃みたいに軽々しく声はかけられない。
背が伸びて、ますますカッコ良くなっているのが悔しい。
先生の号令でタイムカプセルが開けられる。
渡されたピンクの封筒は、懐かしい自分の下手くそな字。
ふと誰かが私を呼んだ。
「おい朱里!こいつさ……」
おどけているのは誠也と仲の良かった祐作。
びゅうっと冬風が吹き、私の手元の紙が飛んでいく。