桜のジンクス 《TABOO》
再会
ピアニストとして成功を収めた私に母校からの演奏依頼が舞い込んだ。
10年振りにくぐる校門。
脇に立つ桜の木に足を止める。
気に掛けた校長が笑いながら話してくれた。
「いつからかあの桜の木にあいあい傘を書くとその恋人同士は別れないなんてジンクスが生まれてね。禁止しても彫ってしまうので、木を守るために柵を設けたんだよ。」
へぇ~と知らない振りをした。
が、私はそのジンクスを知っていた。
かつて私も彫ったことがあるからだ。
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