ユメのアト
ユメのアト
神戸市三宮に、廃校になった木造建築の小学校がある。
洒落た木の手すり。
静かに響く木製階段。

教室内には、可愛らしいくらい小さな机と椅子。

けれど廃校になって久しいその学校に、生徒はいない。

あるのは教室を利用した、お洒落なカフェやデザートの店。

母校で物が売られている不思議。
学園祭とは違う、本格的な店構えだ。
有名なチョコレート専門店もある。

私は階段をあがって、教室を覗いたあと、すぐに下に降りてきてしまった。

中では子供たちを集めて催しをしていたから。

キイキイ鳴る木の階段が、なんだか好きだ。手に馴染む黒光りする手すりも。

私は再びスイーツ激戦区の一階に戻って、品物を物色する。

みんな、買ってもらおうと営業スマイルで武装している。

とはいえ、私も食べたいという気持ちがあるのだ。
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