ユメのアト
「ていうか俺、この中じゃ、これしか食べられない」

「じゃあそれをふたつ」

「――なぁ、ここ二宮さんの母校?」

「うん、どうしてわかるの?」

「ひとりで来たからかな。普通、友達と来るだろ?こういうとこ」

だから、なんとなくわかるという彼に私は頷いた。

「ねぇ、君も?君もここの卒業生?」

「当たり。なんか、離れがたくて」

彼はにっこり笑って帰るまでの時間を聞いた。
私は三十分と答えながら財布を取り出す。

「今度、一緒に食べない?」

「え?」

私の胸はまたドキッとした。

「彼氏じゃなくて、俺と」

軽く言われて箱を差し出される。私はぎこちなく笑って受け取った。

箱だけじゃなく、その言葉まで受け取ってしまったのは、もう少し先の話。

―おわり―
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