天使の囁き·悪魔の囁き
「はぁ」
夜空を見上げて、ため息が零れる。
憂鬱なのは課長が居なくなる淋しさだけでなく、腐れ縁の彼との関係。
学生時代からの付き合いで就職してから擦れ違いの日々が続き、付き合っている意味が分からなくなり私から別れ話をした。
だけど、『別れない』と拒否され、それから彼は毎日電話やメールをして束縛するようになった。
それが苦痛に感じているって、やっぱり……。
「こんな寒い所で、何しているんだ?」
ドキッ
急にすぐ後ろから声を掛けられて驚いたけど、聞き覚えのある声に振り返った。