黒猫が懐くまで。
「はぁ……」
また、ため息か…。
無意識のうちにため息が出てしまっている。
誰かが…ため息の数だけ幸せが逃げて行くと言った。
幸せなんて私には無い。
生まれたときから無かったのかもしれない。
私から逃げて行くものなんてただの気体にすぎないのだから…。
そんな事を考えているうちにもう学校。
タンタンタン…
ダラダラと階段を上がる。
「キャハハハ…!」
「うっそーマジでっ⁉」
「アハハハハ‼」
私の前には「1-A」と書かれた教室。
いつものようにうるさい。
何も変わらない。
でも、この日常がぶち壊れるなんて思っても見なかった。
もう、すぐそばに来ているというのに…。