The Fool
「葵」

声を掛けられ顔を上げると、背後から強く抱き締められた。

足元には全てを詰め込んだ小さな鞄。

「決まったみたいだね」

クスクスと耳元で奏でられる音に小さく頷けば、大きな手が頬へ伸びてくる。

促されるまま振り向けば、間近に迫る綺麗な顔。

「いい子」

そっと押し当てられた唇に、手から本が滑り落ちた。


読みかけの頁に挟んだ新しいタロットカード。

隙間からチラリと覗くのは、《愚者》
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