最高の偽装lovers

穂波side

・・・

『帰ってしまったよ』

浩輔の言葉が、何度も頭を駆け巡る。

・・・

私は重い足取りで店の中へ。

…初恋の人。

でも、何一つ、あの人の事を知らない

私のとって、唯一、

このお店に来た時だけが、

話せるチャンス・・・だった。

・・・

色んな話をしたいのに、

連絡先も知らない。

どうやったら、

彼の事を知る事が出来るんだろう。

・・・

仕事が終わっても上の空。

・・・

料理のレッスンにも身が入らない。

それを、浩輔はちゃんとわかっていた。

・・・

「…穂波」

「・・・なんですか?」

「・・・これ」

・・・

浩輔は一枚の名刺を私に手渡した。
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