まほろば【現代編】

ii

ゆっくりと湯船に浸かったお陰で、体の疲れはだいぶ取れた気がする。

そして、俺は今用意された布団の上で胡坐をかいて携帯電話を見つめていた。

もう一つの気がかりである、ハルカに電話するかどうかと悩み中だ。

夏休み前に一度でも話すことが出来れば良かったのだが、結局一度も話す機会がなく夏休みに入ってしまった。

本当は、電話すれば早いというのはわかっていたのだが、電話すら拒否されたらちょっとというより、かなり堪える。

だから、今まで電話をかけるのを躊躇していた。

「さて、どうしたものか……」

電話を持ったまま布団の上に寝っ転った。

ブブブ、ブブブ。

ふいに、手の中の電話が震えだした。

サブディスプレイを見れば、ハルカの名前が表示されていた。

自然と頬が緩むのがわかる。
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