まほろば【現代編】
そういえば、肝心なことを話すのを忘れていた。

「あぁ、今東京。分家があるからそこで世話になってるんだ」

『と、トーキョー!?』

ハルカの素っ頓狂な声が聞こえる。

再び笑い出しそうになったが、ここも堪えて一番大切なことを告げた。

「どうやら、この東京に手がかりがありそうだからさ。もしかしたら早く戻れるかもしれない」

『本当?』

ハルカの嬉しそうな声に、ついに笑ってしまった。

『えっと、あの良かったよね。手がかり見つかりそうで』

電話の向こうから聞こえてくる、ハルカの恥ずかしそうな声についつい意地悪したくなってしまう。

「そうだな。この分ならハルカにも早く会えそうだ」

『ふ、ふん。どうせ別に私なんてどうでもいいと思ってるくせに』
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