まほろば【現代編】

『えっ、えっ、それは……』

焦っているハルカの声。

どうしてこう、俺ってハルカには意地悪したくなってしまうのだろうか？

「それは？」

重ねて聞く俺に対して、きっとまた言葉を詰まらせてしまうだろう。

そう予測していたのに、それは見事に覆された。

『嫌だ。早く帰ってきて！』

さっきまで早く会いたいと思っていたが、今は電話で良かったと心から思った。

今の俺の顔をハルカになんか見せられない。

逆に言葉を詰まらされた俺を心配するような声が耳に届く。

『あ、あの。嘘だから。私、大丈夫だから。それよりも、その白虎だっけ？　頑張って探してよ』

さっきとは違う、優しい強がり。あぁ、やっぱりハルカに今すぐにでも会いたい。