まほろば【現代編】
「何? 遙ちゃん、オレに会えなくなっちゃうかと思って寂しくなっちゃった?」

「……うん」

きっとリュウに同じようなことを言われたら、思いっきり否定しちゃうところだけど、真人君にそう言われたら不思議と素直に頷くことができる。

「ずいぶんと素直だね。そんなこと言われたらオレ――」

そこで、初めて会ったときと同じようにふわりと真人君の両腕に包まれた。

そして、耳元に囁かれる言葉。

『遙ちゃんのこと、好きになっちゃうよ』

心臓が跳ね上がった気がした。

間違いなく真っ赤になっている顔を両手で覆うと、真人君は私から離れて歩き出していた。

指の間から真人君の背中を見つめていると、こちらを振り向くことなく一言だけ残してそのまま行ってしまった。

「また、会えるよ」

確かに、そう聞こえた。

その言葉だけで、会えなくなるかもしれないという不安と寂しさは消えていた。
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