まほろば【現代編】
自己嫌悪に陥りつつ仕方がないから引き返そうかと思っていたところに、特徴的なシルエットが目に入ってきた。

細身の長身でプラチナブロンド、なんて一人しか思いつかない。

背中を向けていたからはっきりと顔を確認したわけではないけど、私の直感は真人君だと信じて疑っていなかった。

その後姿は、いつもの陽気な真人君とは思えないほどどこか沈んでいるように見える。

少し距離があったので、とりあえず声を掛けようと思って真人君のほうへと足を進めた。

だけど、いくら早く歩こうと小走りになろうと何故か真人君に追いつくことができない。

この時は、とにかく真人君を追いかけることしか考えていなかった。

真人君の後を追って気づけば見知らぬ場所まで来てしまっていた。

しかも、その肝心の真人君の姿まで見失ってしまい半べそ状態。

人通りもまったくなくなり、まるで自分ひとりだけがこの世に取り残されてしまったかのように心細く感じる。

ふいに背後に気配がしたかと思うと、後ろから大きな手で包み込まれていた。
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