まほろば【現代編】
間抜けな声が出たとは思ったが、急にそんなことを言われれば仕方がないことだろう。

だが、何故か他の面々は特に驚いた顔をしているわけではなかった。

ホムラは一人「そうだよなー」となにやら納得している感じだし、紗綾は少し青ざめた顔で頷いている。

紗和、紗来にいたっては話の内容が理解できてないのだろう。

ただ、ニコニコと微笑んでいるだけだった。

「過去って。そんな、簡単に言うけどな……」

いくら陰陽道を今まで学んできているからといったって、過去に向かう術までは学んでいない。

それに、本当に過去に行けたとしてそこに青龍の手がかりがあるとも限らない。

何より、青龍がいないというのはあの真人が言っていることだ。

どうしたものかと頭を抱えていると、ホムラの明るい声が聞こえた。

「大丈夫だよ、ヒリュウ。ハルカがいるから」
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