まほろば【現代編】
「うん。きっと、そういう運命なんだよ」

ホムラの言葉の意味がわからなくて、眉間に皺を寄せているとホムラが言葉を加えた。

「アキが、ハルカに真名を教えたのも、勾玉を渡したのも全部意味があったことなんだよ」

はっきり言って、ハルカが迷い込んだ世界のことはざっとしか話を聞いていない。

ただ、よくハルカやホムラが話しているアキという少年があの時目にした少年だということだけは確信している。

だけど、そうなると目に焼きついているあの光景の意味を考えると素直に頷くことが出来ない。

あの少年は、最後力尽き倒れていった。

背中に無数の矢が刺さったまま……。

「つまり、そのアキってヤツの真名と勾玉があれば過去に行けるってことなんだな?」

「まあ、そういうこと」

ホムラが俺や、ましてやハルカを欺く理由がない。

ここは、ホムラを信用してその案を呑むしかないのかもしれない。
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