まほろば【現代編】
ホムラもそう思ったのか、ハルカの肩を叩いて意識をこちらに戻そうとしている。

肩を叩かれたハルカは、まだ夢見心地のようなトロンとした表情のまま瞼を開いた。

実際には寝ていたわけではないのだが、夢から覚めたような感覚に陥っているハルカは、いまいち現状を把握できていないようだった。

一番驚いていたのは、白虎がいつの間にやら成長していたことだろう。

だけど、これはハルカの特技とでもいえるものなのかもしれないが、適応能力に優れているためその状況をすんなりと受け入れ、白虎に「シロ」という名前まで付けた。

次は、一週間後に来てくれと言って今日のところは家に帰したが、帰り際のハルカは腑に落ちないとでも言ったような表情だった。まあ、それはそうだろう。

昨日の今日で、真人に対しての態度が変わっているのだから。

それにしても、今日の真人は玄武の気配を濃厚に漂わせていた。

ホムラはどうだかわからないが、紗綾や妹たちは、真人が玄武だと信じて疑わないだろう。
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