まほろば【現代編】
どうやら怒ってるわけではないみたいだけど、なんで急に勾玉? 

そう思いつつも無意識に手が胸元に伸びる。

首からは常に、アキからもらった勾玉が下がっていた。

促されるままそれを首からはずして掌の上に乗せた。

リュウは目を細めて勾玉を見ている。

「ねえ、ハルカ。ハルカは、アキの真名は覚えている?」

横から今度はホムラの唐突の質問。しかも、言っている意味がよくわからない。

「ま、な?」

「うん、アキの本当の名前」

「あぁ、うん。もちろん覚えているよ。アカ――」

唇の上にホムラの人差し指が乗せられた。

「ハルカ。その名前は、めったに口にしちゃダメだよ。特に現代では」

ホムラの瞳がまた妖しく紅く光っている。

ホムラって、見た目が小学生の男の子ぐらいにしか見えないから、何となくいつも弟みたいな感じで見てたけど、実際は綺麗な紅い鳥みたいな生き物なんだよね。

たまに、こうやって見せる普段とは違う雰囲気で思い出される。

そして、そんなホムラに思わずドキリとしてしまう。
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