まほろば【現代編】
「で、いつ行くの?」

「できれば、すぐにでも」

「えっ? 今すぐ?」

確か、前に行った時は現実の時間はそれほど流れていなかったはず。

ということは、心の準備さえしちゃえばいつでも大丈夫だろう。

「うん、わかった。私はどうすればいい?」

勢い込んで言う私に、まあ待てというようにリュウが掌を見せた。

「過去に向かうには、それなりの場所が必要だ。おそらく、あのときのあの場所、あれが何か意味のあるところなのだろう。だから、今からそこに向かうが、大丈夫か?」

「あの場所? って、遠足のときの?」

リュウが真顔で頷いている。

「えっ、でも、どうやってそこまで行くの? 前は、遠足だったからバスで行ったけど、電車とか使ってたら結構かかっちゃうよ」

「あぁ、それは心配要らない。誰かに送り迎えはさせるから」
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