まほろば【現代編】
再会を喜び合っているのも束の間、そこに外から良く通る凛とした声が響き渡った。

アオが一瞬緊張したように見えたが、それは負の要素が働いたからというわけではないようだ。その声の持ち主に対する畏敬の念。

その女性が入ってきたとき、ハッと目を見張ってしまった。

その美しさに圧倒されたというのもあるが、その雰囲気がハルカに酷似していることにただ単純に驚いた。

どうやら彼女が、ホムラの言っていた『トヨ』という人物らしい。

アキと拮抗する力を持つというこの女性から推し量れば、アキの力も相当なものだろう。

俺の力がまるで子供だましのように感じてしまう。

トヨは、しばらくハルカと話していたがアオに促されて俺たちを元の世界へ戻すべく立ち上がった。

トヨに導かれるまま、右手の部屋の中に入るとその部屋は感じたことがないほど清浄な気が流れていた。

部屋の中に設置されている祭壇の前に立たされると、トヨは静かに呪言を呟きだした。
< 309 / 702 >

この作品をシェア

pagetop