まほろば【現代編】
私の言葉に、リュウはハッとしたような表情をして考え込んでしまった。

しばしの沈黙の後、スッと立ち上がると私とシロについてくるように促した。

シロは、話すことは出来ないけど私たちの言葉は理解しているみたいで、素直にリュウの後に従った。

私も立ち上がってその後を追う。

リュウは、中庭に下りると玄関方向とは間逆へと向かった。

そのまま母屋に上がると、目の前の部屋へと入っていく。

その部屋は、以前入ったホムラの部屋と同じ造りになっていた。

今は使われていないのか部屋の中はがらんとしており生活感は全くない。

だけど、掃除だけは行き届いているようだった。

リュウは、窓を大きく開けると外の新鮮な空気を取り込んだ。

外を覗くと広く整備された道が続いているのが見える。

それにしても、こんなところにこんなに大きな道なんてあったっけ?
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