まほろば【現代編】
「私の今の役目は、あなた方に伝えるべきことを伝えて、現在の危うい事態をひとまず回避させることにあります」

「どういうことだ?」

「今から、ご説明いたします。それには、シロ。あなたからまずは言うべきことがあるはずです」

アオの言葉を受けて、シロは深く頷くと低く良く通る声で話しだした。

「ワシは、アオの気配が消えてからというものずっとその姿を探していた。もう長いことそうしていたから、いったいどのくらいの時が過ぎていたのかなど気にもしていなかった。だが、つい最近だ。お前たちがワシを探しに来る少し前についにアオの気配らしきものを発見した」

一息ついたシロは、アオへと視線を向けた。

その眼差しは古くからの友人に向けられる暖かいものだった。

しかし、その眼差しも次の瞬間には険しいものへと変化した。

「だが、それが罠だった。ワシは嵌められたのだ」

悔しそうに顔をゆがめる白虎に対してかける言葉はない。
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