まほろば【現代編】
ただ、静かにその続きを待った。

「ワシは、ヤツラに妖力のほとんどを吸い取られてしまった。そして、ヤツラはあの娘に酷なことを強いた」

ヤツラ? あの娘? 

その詳細はまだ語られていないが、嫌な予感がする。

「ワシがなぜ言葉を発することができなかったか、わかるか?」

その言葉はこちらに向けて放たれた。

「妖力が足りなかったからじゃないのか?」

一番考えられることを述べたまでだが、悲しそうな瞳に迎えられてその予測が正しくないことを知った。

「確かに、最初のうちはそうだったかもしれん。だが、妖力がある程度回復してからも話せなんだは不思議に思わなかったか?」

「それは……」

「お主にはちと辛い話になるかもしれんが、これからワシが話すことはすべて事実だ」

思わず生唾を飲み込んでいた。

もしかしたら、うすうすは感じていたのかもしれない。
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